フィンテック×インパクト投資で世界のお金の流れを変える。世の中から“貧困”をなくすために

フィンテック×インパクト投資で世界のお金の流れを変える。世の中から“貧困”をなくすために

 

ThinkAboutでは、次のアタリマエを作ることを目指し活動する方々にフォーカスをして、読者のみなさんと一緒にあるべき社会を考えています。

今回は、日本人向けにインパクト投資事業を立ち上げた、ネクストシフト株式会社の永野 雄太(ながのゆうた)さんにお話を伺いました。

ネクストシフトが行うインパクト投資は、投資したお金が社会貢献事業に利用されつつ、適切な金銭的なリターンが得られる投資です。インターネットを利用して、個人でも気軽に投資できる仕組みを提供します。

インパクト投資の仕組みや、現代の資本主義・金融業界が抱える課題、お金の流れが変わることで実現される豊かな暮らしについて、お話を伺いました。

永野 雄太(ながのゆうた)さん
ネクストシフト株式会社 取締役
1990年生まれ、横浜育ち。高校までは体操に人生を懸ける日々を過ごす。 2009年に立命館アジア太平洋大学に入学し、イギリスの交換留学、バングラデシュのグラミン銀行でのインターンシップ、海外バックパック旅行等を行う。 2013年4月に株式会社三井住友銀行に入行。同年10月付で退行した後、カンボジアに渡り、現地企業にてマイクロファイナンスや不動産ファンド事業に携わる。 2016年2月退社。世界半周後、同年ネクストシフト株式会社を創業。

利潤だけでなく、投資先の社会がどう変化したまで評価する

ーー早速ですが、ネクストシフトが扱うインパクト投資とはどのような投資か教えていただけますか?

インパクト投資とは、 投資家が金銭的なリターンを得ながら、投資先の社会課題を解決する投資手法です。例えば2018年3月から募集開始する、カンボジアマイクロファイナンスファンドでは、ネット上で調達した投資家の資金を、同国のマイクロファイナンス機関に投資します。

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インパクト投資の一番の特徴は、投資のリターンだけでなく、投資先の変化まで評価・確認することにあると思います。当ファンドの場合、投資したことで、雇用がどれだけ生まれたのか、融資先の女性の割合どれくらいか、そこで関わる人の生活がどう改善されたのかなど、具体的な指標で投資評価を行います。

法律上、投資先の個別の名称までは開示することはできませんが、マイクロファイナンスファンド、再生可能エネルギーファンド、地方創生ファンドといったカテゴリを設けているので、応援したい領域で、かつファンドの利回りを見て投資できます。また、投資先の変化を現場からお伝えするので、投資家は資金がどのように使われたか知ることができます。

*マイクロファイナンス(小規模金融)・・・ 貧しい人々に小口の融資や貯蓄などを提供することで、零細事業の運営に役立て、貧困から脱出することを目指す金融サービス

ーー日本の投資家からお金を集めるということですが、具体的にはどのような手法を用いるのでしょうか。

より多くの人にこの金融システムに参加してほしいので、まずは貸付型クラウドファンディングを利用します。

前述のマイクロファイナンスファンドの場合、ウェブサイト上で投資家を募集して、募集金額に達したら運用開始となります。1年後には約5.0%のリターンが返ってくる想定です。日本の都市銀行の定期預金が1年間で0.01%程度の年利なので、500倍ぐらいの利回りです。2万円から投資可能で、投資の回収期間は1年からを予定しています。これまで投資をしたことがない人でも、気軽に始めてもらえたらと考えています。
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「貧困=低所得者」ではない

ーー少額・短期の金融商品なら、今まで投資のことがよくわからなかった人でもとっつきやすいですね。世の中のお金の流れを大きく変えようとするチャレンジングな取り組みですが、この事業を通してどんな社会を実現したいのでしょうか?

私たちは、金融を通して世界中の人々が幸せになる社会の実現を目指しています。幸せというのは、心身ともに健康である状態と定義しています。私個人が長期的に目指しているのは、全人類が最低水準の食糧、教育、医療にアクセスできる社会の実現です。

今日では、最低限の生活すら担保されていない人が多く存在します。個人的には、経済的な格差があることは必ずしも悪いことだとは考えていませんし、低所得=貧困とも思っていません。ただ、最低限の生活が送れなければ機会に恵まれず、貧しい人はずっと貧しいままです。

本来は、全ての人に機会が行き届くように資本が分配されるべきだと思いますが、現実は違います。実際途上国に行くと、高級車が走る横で、 物乞いとして暮らす人が溢れている光景をよく目にします。今の資本主義は、お金のある人により多くのお金が集まるだけで、貧しい人は生活の質を向上するのが難しいと考えています。

多くの人が機会を得られる社会にするためには、一部の企業がお金を吸い上げるだけでない、新しい金融の仕組みが必要です。お金の流れを変えるには、世の中の人のお金を用いて 投資をしている金融機関が変わらなければなりません。

最近では、マイクロファイナンスのような貧困層向けの投資は増えていますが、どこの国のマイクロファイナンス機関も資金調達に大苦戦しています。一方で、日本では投資先が見つからず、お金が余っている状態です。余っているお金が必要なところに自然な流れる仕組みを作りたい。そう考えて、インパクト投資にたどり着きました。

インパクト投資が当たり前の金融商品になれば、投資家が利潤を得ながら、社会はどんどん良くなります。海外ではインパクト投資も進んでいますが、日本国内では広がっていません。インパクト投資を専門で扱う金融機関は、私たちが日本では初めてになるかと思います。日本でインパクト投資を当たり前にすることが、ネクストシフトの重要な役割だと考えています。

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執筆者:ThinkAbout編集部
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