三ツ星シェフが廃棄対象食材を使う理由

三ツ星シェフが廃棄対象食材を使う理由

廃棄対象食材を使って、社会的に困難な人たちに一流の料理を振る舞う。ミシュラン3ツ星レストランのシェフが音頭をとって始まったこのプロジェクトは、世界のフードロス問題に一石を投じている。

Words Miki Tanaka

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環境省が2019年4月に発表した統計によると、昨年度の日本の食品廃棄物などは約2,759万トン。このうち、本来食べられるにも関わらず捨てられた食糧ロスは約643万トン(推計)にのぼるという。世界的に“廃棄大国”という不名誉なレッテルを貼られている日本も、このような食品ロスが引き起こす環境破壊や資源のムダ遣い、貧困の促進などのさまざまな問題を直視し、真剣に見直しを考えなければいけない時期に来ている。

そんななかイタリアでは、モデナにあるミシュラン3ツ星レストラン「Osteria Francescana (オステリア・フランチェスカーナ)」のオーナーシェフ、マッシモ・ボットゥーラが発起人となって設立した非営利団体「Food for Soul(フード・フォー・ソウル)」のちょっと粋な活動が注目されている。このプロジェクトの発足は、ボットゥーラとその妻ララ・ジルモアが、2014年にFAO(Food and Agriculture Organization=国連食糧農業機関)が発表した「世界では毎年、生産される食料の3分の1がロス・廃棄の対象となっている」というレポートに衝撃を受けたことがきっかけだった。

賞味期限間近の食材を使い、ホームレスや恵まれない人たちのために、無料で一流の料理を提供する。こんなアイデアを思いついたふたりは、15年に開催されたミラノ国際博覧会を引き金にアクションを起こす。そして「食」をテーマにした万博期間中、会場で余った食材を使い、世界中から集まったスターシェフたちがキッチンに立つレストラン「レフェットリオ・アンブロジアーノ」をオープンさせたのだ。レストランのためのスペースは、ミラノの慈善団体「カリタス・アンブロジアーナ」の協力のもと、放置されていた教会が提供され、それを著名建築家やアーティストたちが改装。美しいインテリアとアート作品に溢れる空間で、1日約100人の”招待客”がファーストディッシュ、メインディッシュ、デザートの3品を楽しんだ。

最初のプロジェクト「レフェットリオ・アンブロジアーノ」にかかわったスタッフたち。Photo by Caritas Ambrosiana

モダンでクリーンなインテリアにも重きを置いている。Photo by Paolo Saglia

パスタ類、メイン、デザートが提供される。Photo by Paolo Saglia

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