仕事の成果も、子供との時間もあきらめない。「子連れ出社」を可能にした、個人と組織のあるべき姿とは

執筆者: 坂根扶美
vol22
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仕事の成果も、子供との時間もあきらめない。「子連れ出社」を可能にした、個人と組織のあるべき姿とは

執筆者: 坂根扶美

妊娠、出産、育児、そして仕事への復帰。働き盛りの方であれば男女問わず一度は考えたことのあるテーマではないでしょうか。私ももちろんその一人。

「出産を経験して戻ってきた女性社員がいない?だから制度が整ってない?上等じゃないですか。私が先行事例となり、自らの手で血の通った制度を作ってみせましょう!」

なんて意気込んでいたのは就活生の頃。

残念ながら自分自身を対象とすることはかなっていませんが、出産・育児支援制度の構築に携わる機会が、つい最近巡ってきました。今年2月に発足したPJTチームにアサインされたのです!

活動の一環として、この分野において先進的な施策を実行している企業2社に先日訪問をしてきましたので、2回に渡ってその様子をお届けできればと思います。

第1回目の今回は、「子連れ出社」を実現している株式会社CRAZYの取り組みをご紹介します。「子連れ出社」を実現するまでの経緯や考え方を伺う中で、個人と組織のあるべき姿が見えてきました。

株式会社CRAZYについて

株式会社CRAZYは、「CRAZY WEDDING」というウエディング事業を運営している企業。ウエディングといっても、パッケージ化された結婚式を販売しているのではありません。結婚するカップルの人生や価値観を投影させた「コンセプト」を紡ぎ、世界でたったひとつだけのオリジナルウエディングを作り上げているのです!どの結婚式もとってもユニーク。自分たちらしさを自由に表現できる新しいカタチの結婚式として、現在注目を浴びています。

CW事例写真

 

今回は、株式会社CRAZY(旧:UNITED STYLE)創業メンバーでありCRAZY WEDDINGのCOO(最高執行責任者)でもある遠藤理恵さんにお話を伺いました。実は遠藤さん、今1歳8か月になる息子さんと「一緒に」オフィスへ出社しているんです。

CRAZY WEDDING COOの遠藤理恵さん
CRAZY WEDDING COOの遠藤理恵さん

仕事も、子供との時間もあきらめたくなかった

遠藤さんの妊娠が発覚したのは2014年11月。結婚式を作り上げる現場プロデューサーから、プロデューサーチームをマネジメントする立場に変わったタイミングでした。

妊娠期間中、体調が優れないときに1か月休職したものの、その後は出産直前まで働いたそうです。必要に駆られてというよりは、責任範囲も大きくなり仕事がおもしろくて離れがたかったから、というところが大きかったとのこと。

 

――休んでいる間は次にリーダーにしたいと決めていたメンバーと、当時CRAZY WEDDINGの代表だった山川にチームを任せていました。あまり不安はありませんでしたね。

周りのメンバーもそこまで不安には思わなかったんじゃないかなと思います。そもそもCRAZYには『グレートジャーニー制度』という、年に1度自由に長期休みを取って旅に出ていい制度があるんです。事前に相談の上、お休みの間の業務調整をしっかりしていれば、1か月以上の休暇をとることも可能になっています。この制度が活用されていることもあり、『長期で人が不在になること』に対する耐性が他の会社の方よりあるのかもしれません(笑)。

 

「働くことと生きることを分けない」

CRAZYが大事にしている考えであり、グレートジャーニー制度はこの言葉を体現する取り組みの一つ。大好きな仕事をしつつ、世界一周をしたっていいよね。そう言ってCRAZYメンバーは国内外問わず旅に出るのだそう。

企業で働いているから○○できない。

多くの人が無意識に「そうだ」と思い込んでいる常識に対し、「本当にそれが常識であり、理想だろうか」と問いかけるのがCRAZYのスタイル。そして、個人の幸せと事業の成長どちらかではなく、両方を最大化していくことがCRAZYにとっての理想の姿。

なるほど。そういった価値観が会社全体に浸透しているからこそ、「子連れ出社」という一般企業では例が少ない取り組みに挑戦できたのかもしれませんね。

遠藤さんと息子のけいとくん
遠藤さんと息子のけいとくん

――生まれてきた息子の人生や、その成長を見守ることを大切にしたい。でも、仕事も全力でやりたい。

保育園に預けるという選択肢もあったけど、そうするとどうしても制約が出てきてしまう……。

何一つあきらめたくなかったから、創業した時と同じ熱量で働きつつ、息子との時間を大事にするためにはどうしたらいいかを考えました。そしたら、「オフィスに連れてくる」ということが最も理想的だと思えたんです。

最初は週2~3日の出社で慣らしていき、今は週5日。だいたいオフィスにある食堂やフリースペースにいて、その間はシッターのあつさんが見ててくれる。だから安心して働けてます。

専属シッターのあつさんとけいとくん。とても仲良し。
専属シッターのあつさんとけいとくん。とても仲良し。

子連れ出社を可能にするもの

乳児期はMTG中に授乳をしたりすることもあったらしいです。遠藤さんもすごいけど、それを受け止めるメンバーの方々の肝の据わり方もすごい……。

「会社」という場所を考えるとかなりイレギュラーな光景ですが、そのこと含め、周りから「子連れ出社」に対する反対意見はなかったのでしょうか。

 

――まーっったくなかったですね(笑)。

シッターさんをお願いしよう!と提案してくれたのも実は経営陣からで。

「ここで壁を突破できるかどうかで、これから子どもを授かるCRAZYメンバーの働き方も変わってくるよね。であれば全力で、みんなで、その壁を壊しに行こう。」

って言ってくれたんですよ。

もちろん彼らだけでなくほかのメンバーもそう。妊娠中って、自分でも思っていなかったような心持ちになるんですよね。自分は価値が出せてないんじゃないかとか、周りが迷惑に思っているんじゃないかとか……。

だけど、出産・育児は偉大な仕事だとみんなが認識していて、祝福を全力で表現してくれるから、「私はここにいていいんだな」と安心することができた。

シッターさんがいてくれるということはとても大きいけど、それ以上に、メンバー全員が心から応援し支えてくれているからこそ、今の働き方ができると思うんです。

遠藤さんやあつさん。多くの大人に見守られ、けいとくんはすくすく成長中。
遠藤さんやあつさん。多くの大人に見守られ、けいとくんはすくすく成長中。

「全力で、みんなで、その壁を壊しに行こう。」

なんて力強い言葉なんでしょう……!

一人のメンバーの人生が会社の未来を変えていく。

そう信じ、全員が一丸となってその未来を確かなものにしていこうとする様は本当にかっこいいです。

今後はどのような施策が控えているのでしょうか。

 

――私の他にも出産経験者が増えてきて、この4月からの復帰のために準備をしているというメンバーも何人かいる。

月齢が違う子どもを今の形式で見ていくには限界があるので、スペースを区切ったり、シッターさんを増やすことは考えていますね。

ただ、見えない未来に不安を覚えてあれやこれや計画を立てても仕方ない。

今目の前にある現実と向き合い、どう解決していくかを考えていく方が私たちらしいなと思うし、それができる組織だと思っています。

 


 

一人のためにここまでするのか。

取材を終えたとき、正直そんな感想を抱きました。

でも、記事を書きながら少し立ち止まって考えてみる。

 

人の在りようや繋がりは、時や環境と共に移ろうもの。

組織がその変わりゆく人によってつくられるものならば、組織もまたその変化に合わせて姿かたちを変えていくはず。

メンバー一人ひとりに向き合うということは、組織自体と向き合うことでもあるのかもしれない。

メンバーの人生を丁寧に扱えない者が、組織の変化をとらえていけるだろうか?

 

一人のためにここまでするのか。

そう。ここまでしていいし、きっとすべきなのです。

個人の幸せと組織としての強さをどちらもあきらめず追い求めていくことで、新たな価値を創造できる存在になれるのだと思います。

 

私たちが制度を作り上げるときも、理想から考え、自分たちらしくて血の通ったものにしていきたいです。

それは目の前にいるメンバーのためでもあるし、何よりそうすることが会社の力になると、今回の取材を通して信じられたから。

オフィスの一角でパシャリ
オフィスの一角でパシャリ

遠藤さん、CRAZYのみなさん、ありがとうございました!

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執筆者:坂根扶美
研究の道を志して大学院に進学するも、学生時代に立ち上げた「新妻カフェ」の企画運営経験から、
自分のアイディアを形にすること、人を熱狂させること、そしてその対価としてお金をいただくことの面白さを感じ、
「これってビジネスというやつでは!?おもしろーい!」と思い、民間就職の道へ。
ビジネスを楽しみつつも、自分らしく、飾らず、真っ直ぐ生きていける場所を探し求めた末、運命的にネットプロテクションズと出会い、2013年に入社。
入社後は法人営業、WEB企画、新卒採用・研修と幅広い業務に従事。
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