2021年にプライム市場への上場を果たしたネットプロテクションズ。上場から3年ほどが経過し、真価が問われる今、これからのネットプロテクションズ(以下、NP)事業と組織の展望について、取締役の秋山と田中に聞きました。

秋山瞬
慶應義塾大学卒業後、人材系スタートアップ企業に新卒1期生として入社。新規事業責任者や関西支社長を経験した後、2009年に株式会社ネットプロテクションズに人事責任者として入社。2013年よりセールスグループGMを兼務。2017年に執行役員、2023年に取締役に就任し、現在はセールス・アライアンス領域を管掌。

田中健太郎
日本マイクロソフト、楽天、ミスミグループ本社等でマーケティングマネジメントを歴任後、2021年ネットプロテクションズ入社。マーケティンググループにてマスやデジタル広告の戦略・施策PDCAを先導する他、海外市場動向の分析・戦略立案、インサイドセールスのオペレーション強化戦略等にも携わる。経営学修士、中小企業診断士 (経済産業大臣登録)。

 

ーNPの事業について紹介をお願いします

(田中)NPは、商品を受け取った後に支払える「後払い決済サービス」を提供しています。海外でも「BNPL (Buy Now Pay Later)」と呼ばれており、ここ数年急成長し注目を集めています。2002年に世界ではじめて後払い決済サービス「NP後払い」を提供開始し、クレジットカードを持たない人の代替手段に加えて、「安心・安全にお買い物がしたい」というお客様のニーズから支持を集めています。例えば、ネットショッピングからの情報漏洩が増えており、カード情報をネットで入力したくない、自分の好きなタイミングで後日支払うなどです。 「NP後払い」の立ち上げ後は、これらのノウハウを活かして、オンラインサービスや実店舗でも使える会員制後払い決済の「atone」、水道やガス修正など訪問サービス向けの「NP後払いair」、企業間取引向けの「NP掛け払い」、海外向けの「AFTEE」など、後払い決済サービスを多様化させています。

ー直近の業績についてお聞かせください

(秋山)2002年のサービス開始以来、取扱高を堅実に伸ばしてきました。特に「NP後払い」は当社の収益の柱であり、収益性向上に力を入れた結果、今年度第1四半期には業績が黒字化できました。また「NP掛け払い」も前年比で約30%以上の成長を維持しており、順調にシェアを拡大しています。
このような好調の背景には、ネットショッピングによる物販が拡大しているのに加えて、旅行やチケットのなどのオンラインサービスや電子書籍や音楽配信などのデジタルコンテンツが普及しはじめて、後払い決済サービスのニーズが急激に伸びていることがあります。また、クレジットカードの不正利用被害が過去最大で、特にクレジット番号の盗用被害が最も深刻ですが、こちらを防止する意味合いでもニーズが高まっています。BtoB取引においては、コロナ禍明けから飲食産業自体の回復や、海外からの観光客によるインバウンド需要の拡大によって、飲料や食材、機材など飲食関連事業者の取引が大幅に増えています。さらに2024年度はコロナ禍でのゼロゼロ融資が終了し、事業者の資金繰りが厳しくなっていることを踏まえ、需要が増えている状況です。 
サービスのスキームとしては、長年の取引データに基づいて進化させてきた与信システムの強化や、コスト管理の徹底が収益性向上に大きく影響しています。「NP後払い」で培ったこうしたノウハウは「NP掛け払い」に限らず他の事業にも活かされており、強いシェアを維持する支えとなっています。
さらに、2024年4月以降、予想を上回る収益を達成しているため、すでに今年度の業績予想も上方修正しました。

ー中期的な成長見通しについてお聞かせください

中期経営計画の資料より引用

(秋山)中長期の目標として、後払い決済で蓄積した資産を活用することにより、営業利益100億円を掲げています。
これまでは売り手(販売元)のビジネスの可能性をひらくことに注力してきました。BtoC領域では「後払い決済」の提供を通じて、消費者の購買体験も向上し、事業者の売上アップに貢献してきました。BtoB領域では、販売元企業の請求業務の負担を減らし、本業に集中できる環境づくりをサポートしてきました。
これからは、売り手に提供してきた価値から生まれたネットワークやデータを活かし、買い手(消費者や購入企業)向けの新サービスにも力を入れていきます。これにより、売り手と買い手がつながり続ける好循環を作り出し、より大きな成長を目指します。

ーBtoC領域においては、どのような事業戦略を描いていますか

中期経営計画の資料より引用

(秋山)BtoC領域においては、「誰でも簡単に使いはじめられる新しいクレジット(信用)を創造し、決済における”つぎのアタリマエ”をつくる」ことを目指しています。
オンライン・オフライン問わず、クレジットカードや現金不要で、安心かつ便利な購買体験を提供する「atone」を通じて、あらゆるシーンにおいて、このビジョンの実現を目指しています。

「atone」では、EC事業者が自社サイトへ効果的に集客できる仕組みがあり、大手モールに依存せず自社での消費者誘導をサポートします。いわゆるマーケティングサービスです。また、今後展開予定の有料会員制の「atoneプラス」は、高いポイント還元や手数料無料の分割払いなどにより、消費者のお買い物の満足を押し上げます。さらに「NP後払い」および「NP後払いair」を通じて、TV通販やリフォーム市場などで広く対応していきます。

ーBtoB領域における事業戦略はいかがでしょうか?

中期経営計画の資料より引用

(田中)BtoB決済領域は大きな拡大が見込まれる成長市場で、海外市場でも大きな注目を浴び様々なプレーヤーがチャレンジを始めています。国内のBtoB掛け払い市場では、サービス開始から既に10年を超えるNP掛け払いがトップシェア (※1) を誇るリーダーポジションにあります。企業間取引における決済の業務とリスク保証を代行することで、売り手と買い手の双方に大きな価値を提供し、直近四半期ではYoY30%を超える力強い成長を続けています。

(※1) デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ「ミックITリポート2022年10月号 BtoB決済代行サービス市場調査(https://mic-r.co.jp/micit/2022/)」より、2021年度年間取扱高を参照。

中期経営計画の資料より引用

NP掛け払いにはサービス拡張による成長機会もあります。現在NP掛け払いが接点のある買い手企業67万社に対し、オンラインレンディングや支払期限延長といったファイナンスサービスを提供することで、市場への提供価値と事業成長の速度をアップさせることができると考えています。NP掛け払いで蓄積したデータを、新たなファイナンスサービスに生かすことができることは、他社にないNPの強みです。

今後の成長にはサービス開発スピードの向上や外部パートナーとの連携が不可欠です。営業リソースの拡充も含め、様々な変化を実現しながら持続的成長を目指します。

 

ーこうした事業成長を支える組織について、どのように捉えていますか?

(秋山)NPに入社し15年間が経ちますが、変わらないのは「つぎのアタリマエをつくる」というミッションに向けて、本質を追求する企業カルチャーですね。自分で考え行動できる人材を採用・育成し、評価する姿勢は今も大切にしています。
一方で、大きく変化した点もあります。以前は新卒メンバー中心の若い組織でしたが、上場後はさらなる事業成長を目指して中途採用のメンバーも増えてきており、より多様な人材が集まる組織へと進化しています。この多様性をもってNPのバリューズに掲げる「本質を探り、変化し続ける」の原動力となっていくと思ってます。こうした変化をポジティブに受け止め、常に進化し続けることが、次の未来を切り開く鍵だと考えています。

年次・部署を超えた「斜めの関係」をつくる「ファミリー」制度。年次や部署に関わらず気軽に話せる関係性をつくり、誰もがより安心して生き生きと働ける環境があります。

(田中)私は2021年にNPに中途入社しました。入社前に聞いてはいたものの、レポートラインが存在しない組織構造を実際に目の当たりにし、非常に驚きました。組織図上では、部署や事業を支える存在として「カタリスト」という役割がありますが、指揮命令権を持っていない点が非常にユニークです。

この組織形態は単一の仕組みではなく、複数の仕掛けがメカニズムとして作動することで成立しています。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のステートメントやティール組織の考え方に紐づく人事制度、社内の情報共有の徹底、さらに異動や兼務を自由に選べる柔軟な仕組みなど、あらゆる取り組みが連動しています。こうした総合的な組織運営が、社員の高いエンゲージメントを生み出しており、「OpenWork」などの外部機関におけるスコアに反映されているのだと思います(※2)。

(※2)「OpenWork」総合評価ランキングでTOP10入りの記事はこちら:https://corp.netprotections.com/library/14474/

さらにユニークな点としては、肩書やポジションによる影響力を行使できないため、リーダーシップを発揮するうえで、まずメンバーとの信頼関係の構築が不可欠で、個人としての人間力が問われます。
私のようにNPに中途入社する方にとっては、最初は環境に適応することがチャレンジになるかもしれません。しかし、信頼を得てチームをまとめ上げ、リーダーシップを発揮できるようになれば、その人の器は大きく成長できると考えています。このプロセスで得られる経験は、他社では決して得られない貴重なものです。

ー今後どのような組織展望を描いていますか?

(秋山)資本主義や株式市場で成果を出せている理由が「人」や「組織」にあることを証明したいです。NPでは事業だけでなく、組織においても「ひとの可能性をひらく」取り組みに注力しています。たとえば、マネージャー職を廃止した人事評価制度を導入し、従来の枠にとらわれない本質的な仕組みづくりを進めています。メンバーの意思を尊重し、それぞれが「つぎのアタリマエ」を創出できる環境づくりにも取り組んでいます。
また、次世代のリーダーを社会に増やすことにも力を入れており、リーダーたちが活躍できる組織のあり方を自らが実験台として先駆的に挑戦しています。この取り組みが、未来に新たな価値を生み出すと確信しています。

(田中)NPは国内外の多様な市場に後払い決済を展開しており、今後の成長余地が大きいため、そのダイナミックな環境でチャレンジできる人材を育成していくことを目指したいです。
新卒からシニアまで、すべての社員が”戦略家”として自走し、事業成長に貢献しつつ自らの自己実現も果たせる状態をつくりたいですね。究極、経営層が細かく指示やアドバイスをしなくても、組織全体が自走し持続的な成長を遂げられるようになったら最高だと考えています。

ー最後にこれからNPに参画される方に向けてメッセージをお願いします

(秋山)「今の特別で終わらない」ーーこれは「つぎのアタリマエをつくる」というミッションに裏打ちされた信念である、私自身はそう捉えています。
ミッションはまだ道半ばで、これからも”つぎのアタリマエ”をつくり出す挑戦が続きます。過去の成果に安住せず、新しい未来を創るために、変化を恐れず挑戦し続けられる人にこそ、NPというフィールドを活用して羽ばたいてほしいと考えています。

(田中)NPは、事業成長と組織の進化の両軸を追求しています。さらに単一事業だけでなく複数事業があり、挑戦のしがいがあります。
海外の後払い決済事業者を見渡すと撤退する企業が一定存在する中で、NPは収益化に成功し、リーダーポジションを固めつつあります。さらに組織においても、メンバー全員が主体性を持ち、事業成長に熱中することができる環境があり、これほど独自のポジションで挑戦できる機会は希少なのではないでしょうか。ぜひ一緒に、この成長のステージに挑んでいきましょう!

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