2019年夏、ネットプロテクションズ(以下、NP)が中高生向けにサマーインターンシップを実施することを発表しました。これまで就活生向けには実施をしていましたが、はじめて中高生を対象としたプログラムを開催します。そのプログラムの概要と立ち上げの経緯を、企画者である4名のメンバーに伺いました。

前列左:玉城麦野(BtoBカスタマーサービスグループ) 前列右:三上高広(BtoBセールスグループ) 後列左:平間亮哉(人事グループ兼BtoBカスタマーサービスグループ) 後列右:赤木俊介(企画室atoneグループ)

熱意を持ったメンバーが自発的に立ち上げ

ー「THiNK FLAT CAMP.」について簡単に教えてください。

平間
「THiNK FLAT CAMP.」とは、中高生向けに成長支援やキャリアサポートなどを目的としたサマーインターンシップです。

内容を簡単に紹介すると、4〜5名の学生でチームを組み、5日間で新規事業を立案しようというグループワークになります。もちろんNPの社員がメンターとして全力でサポートします。参加者には、チームでの新規事業立案を経て、自分・他者・社会に対して本気で向き合う経験をしていただきたいと思っております。

大学生向けにはもう10年くらい開催しているのですが、「THiNK FLAT CAMP.」では、中学生向け、高校生向けをそれぞれ一回ずつ行います。

ー起案者の平間さんにお伺いします。本企画立ち上げの背景について教えてください

平間
これまで好評だったサマーインターンを就活生以外にも届けたいよね、という話自体は以前から社内でも上がっていました。ただいつまでも誰かの起案待ちをしてしまっていた自分や環境に気づき、勝手ながら使命感を覚えて動き出しました。

その次の日には人事グループにはやることを宣言し、社内でも教育やキャリア支援に関心があることを発信していた赤木さんと玉城さんに声をかけました。

ー声がかかったお二方は、いかがでしたか?

玉城
私は、エネルギーが溢れるような場を作ることへの興味が背景にあります。というのも、もともと子供のもつエネルギーに触れることが好きで、プライベートでもそのような場への参加は積極的に行なっていました。

サマーインターンに関しても、学生の成長する瞬間に立ち会えることに喜びを覚えるので、毎年メンターや運営などで参加するほど大好きな活動です。

ですので、サマーインターンを若年層に提供しようという企画に関しては、もう二つ返事で参加したいと思いました。

赤木
僕は、もともと教育関係のことは社外でいろいろやっていて、社内でも興味があるということを発信していました。ただ、正直なことをいうと「理想の幼児教育をいかに実現するか」と考えている時期だったので、すごく高い熱量で賛同したかというとそうではなかったです。

一方で、話していく中で「ネットプロテクションズがサマーインターン通じて提供してきた価値が、どの年代までうまく伝わっていくんだろう」というところもすごく興味深くなっていきました。また、熱意をもった人が周囲を巻き込んでチームを作っているところに、自分も触発されて、「このチームだったら面白いことができそう!」といったワクワク感が生まれてきました。

ーこの3名で立ち上げて社内でのメンバー募集告知があり、三上さんが参加しましたね。三上さんの参加へのモチベーションはどのようなものだったのでしょうか?

三上
僕ももともと教育領域に興味がありました。自分自身が中高生のときとかとかって、たとえば「親の期待を意識して」進路や将来を考えていたんですが、その頃にもっと広い世界を知っていれば選択肢は多かったはずだと思っているんです。

そんなことを考えているとき、社内告知をみたんです。実は結構参加ハードルが高い文言だったんですよ。「俺たちは本気だから、本気じゃないやつは来るな」くらいの勢いで。あぁ、絶対に熱くて面白いだろうなとワクワクしました。

NPのサマーインターンには大学生の時に参加し、入社してからもメンターとして毎年関わっています。玉城さんも言っていましたが、人が本気を出して変わっていく姿ってとても魅力的なので、サマーインターン自体が大好きなんですよ。

自身の中高生時代の原体験、サマーインターンというコンテンツの魅力とメンバーの熱量。これらを掛け合わせて考えた時には、自分は絶対に参加すべきだと感じました。

高い評価を受けている大学生向けプログラムで培ったナレッジを最大活用

ー今回の対象ですが、なぜ中高生なのでしょうか?

平間
今回は前提として大学生向けに評価されているサマーインターンのナレッジを最大限に活かそうとしており、大きくプログラム内容を変えることは考えていません。ならば高校生、中学生と順番に拡げていくほうが、より各世代にフィットするものをさせていけるだろうと考えました。

将来的にはさらに対象を拡げていくこともできればと期待しています。

玉城
私の場合は、先述の「エネルギーが溢れる場づくり」の対象は、年齢なんかは関係なくて全人類なんですね。ですので、今回のプログラムにおいて誰を対象としても熱量は下がらないですし、NPのナレッジが生かせるのであれば、イメージしやすいところからが良いなと思っています。

その後の人生の「コンパス」になるような経験を

ー参加者にはどのような価値を提供したいですか?

平間
中高生時分では、少なからず「親の敷いたレール」や「世間的な正解っぽいレール」を走っているような気がするんです。例えば偏差値の高い高校や大学に行くとか、ステータスの高い会社に就職するとか。

それって本当にやりたいことなんだっけ?と一人で考えてもなかなか答えは出ないですよね。このプログラムで自身や他者と徹底的に向き合うことで、自分のやりたいことを考え、さっき言ったレール以外の選択肢を見つけられるといいなと思っています。もちろん色々見えた上で、それでもそのレールが正解である場合もあると思いますが、納得度が全然違うと思いますね。

赤木
簡単に言うと、「振り返った時に大事だと思える経験」を提供したいと思っています。正直5日間で、体感として「変わった!」って必ずしも思えるとは限らないかもしれない。でも本気で自分と向き合った経験って、5年後10年後に「あそこでの自己理解がターニングポイントになったな」というものなのかなと思います。人生の早い段階でそれを経験していると、今後生きていくうえで壁にぶつかったりした時に、過去に向き合った経験があるからこそ乗り越えられたりできる。そのやり方を会得できるのは大きな価値だと思います。

三上
高い水準で本気になる経験をしておくと、その後「あれ、このままでいいんだっけ」と、自分を俯瞰して振り返れたりすると思うんです。僕自身も大学生時代に経験しましたが、自分の価値観や根源的欲求と向き合うと、その後の人生において「どうしたいのか」を考えるためのコンパスとして役に立つんです。

玉城
私自身のテーマでもあるんですが、「自分自身の心に従って生きること」ができるようになるといいなと思います。

社会の波というか、大きな流れみたいなものにつぶされてしまいそうな時であったり、自分自身がよくわからなくなってしまうこととかあるじゃないですか。それは大人も子どもも関係なく、ずっと向き合い続けていくんだろうなと思うんです。

自分の心の声を聞いて、自分の心に従って生きられるということが、幸せなんじゃないかなと思っているので、5日間ではありますがそういった時間を共有できたらいいなと考えています。

中高生をなめずに、真剣に向き合い期待する

ー提供プログラム内容は大学生向けと変わらないんですよね?

平間
はい。「つぎのアタリマエとなる新規ビジネスを提案せよ」というお題で、4〜5名のチームでグループワークをしていただきます。NPの経営に携わる人間に対してプレゼンをしてもらい、彼らが本気でフィードバックをします。

ー中高生にとって事業立案というのはなかなかイメージがしにくいのではないかと思うのですが、それでもこのテーマにした背景を教えてください。

赤木
確かに中高生にもっと寄り添ったテーマにすることも可能だとは思います。ただ、企画チームで議論していた中で「大人が子どもをなめてるんじゃないか」というのが出てきました。事業立案なんて子どもにはできないと思っているのは大人の方で、しっかりと前提を伝えれば考えられるんじゃないか、期待してみようと考えました。企画者側の勝手な想定でテーマの難度を下げるというのは失礼だと思ったんです。

三上
「事業立案」であることが本気になれるきっかけかもなとも思っています。「〇〇になりたい」とか「〇〇だったらいいな」という妄想なら、大人も子どもも関係なくできると思うんです。でもそれを「どうやったらそうなれるか、できるか」を考えて形にするということに向き合った時、はじめて本気でそこに向かって考えるんだと思います。

玉城
テーマこそ「事業立案」ではあるのですが、「人はどんなことを価値と感じるのか」を考えていくことだと思っています。それは、結局「自分は何を価値と感じるのか」「どんなことを幸せと感じるのか」といった、自分自身の価値観や心に向き合うことでもあると思います。

この経験こそが、このプログラムの提供したい本質的価値なんだと思います。

社会に出ることに期待してもらいたい

ーTHINK FLAT CAMPを終えた時、参加者にはどんな感想を持ってもらいたいですか?

赤木
これは、全員で共通認識とったものではないのですが、「周りに期待を持って欲しい」というのがあります。ニュースなどでは「働く」とか「大人」みたいなものに対してネガティブなイメージが先行していている気がして、社会に出ることに鬱屈した感情を持っている中高生も多いと思うんです。

でも我々メンターがめっちゃ楽しそうにやってるとか、それこそ、チームが盛り上げっていて楽しそうにやってるな、頑張っているなっていうのを目の当たりにすることで、「全然世の中捨てたもんじゃないな」とか「やっぱり、あの大人のひとたちすごくいい人だった」「いっしょに働きたい!」みたいな感想を持ち帰ってもらいたいんです。

楽しんでいる大人たちはたくさんいるし、数年後に社会に出る段階になった時に、ああいう環境ならば自分のやりたいことに向き合って働けるかもなと思えるような、そんな体験を提供したいですね。

玉城
私には大学生の弟がいるんですが、なんかもう社会とか将来に対して閉塞感というか、諦めみたいなものがあるんですね。きっとそういう人って結構な数いると思うんですよ。

でも自分の動き方次第で、仲間も見つけられるし、その仲間と社会を楽しくすることができる。この5日間で100%のワクワクまで持っていくことはできないかもしれませんが、数%は社会への期待値を上げることができるんじゃないかと思っています。

三上
シンプルに、明日からが楽しみになっていてほしいなって思いますね。来る前の自分よりもちょっと一皮むけていたり、殻を破りかけていたり。親とか友達とかにも「こんなことあってさ、こんなことやりたくて」とか話したくなるような経験ができるといいなと思います。

自分への希望とか期待とか、あとは逆に悔しさとか挫折感とかも強く感じてもらえたら、それはそれで良いですね。なにか今後の活力になるような「バネ」になるようなものを持ち帰って、「いくぞ!」って気持ちになってくれたら嬉しいです。

ものさしはひとつではなく、多面的に評価できるように

ーどんなことを考えている親御さんに、子どもに参加を勧めて欲しいですか?

平間
「自分の子どもの可能性をもっと広げてあげたい」と思っている親御さんには、参加を勧めてみて欲しいです。自分自身もそうなのですが、無意識に自分自身が子供の可能性を狭めてしまっているんじゃないだろうか」って感じることがあって。

子どもの可能性を過小評価していたり、つい自分の価値観を押し付けて叱ったり。それがよくないなと反省しつつも、でもどうしたらいいか悩んでいる。そんな親御さんにはぜひ届いて欲しいなと思っています。

玉城
最近出会った、「あなたが本当に必要なのは問いですか、答えですか」という問いがずっと心に残っています。もしかしたら「いかに答えを知っているか」が重要視された世代が親世代なのかもしれないなと思っていて。

でも、親世代も時代が変化していることを感じていて、自分が正しいと思っていることを子どもに与えることが正しいとは限らないかもしれない、でもどうしたらいいかわからない、と感じる人は多いんじゃないかなと思います。

学校教育や教育システムに対して、「これで本当にいいんだっけ」と思っている親御さんにはぜひ興味を持っていただきたいなと感じています。

赤木
あとは自信満々で、調子にのっている子どもとかも連れて来てほしいですね(笑)。

というのも、可能性を過小評価されるのと同様に、可能性があるとおもっている子に対しても、もっと上をみせてあげたら無限に成長していく気がするんです。

三上
自分自身が大学生になって感じたことなんですけど、高校生までって接点を持つ人が、親か学校の友達か先生か習い事の友達とか、結構コミュニティの数が限られてくると思うんです。

さらに、社会人になれば評価される部分って多面的なのですが、中高生の頃とかだと、勉強の成績やスポーツができるかなど物差しが限られちゃうんですよね。

この子には今の物差しでは測れない優れた可能性があると思いたいし、きっとみんな優れた部分はあると思うので、そういう内面にある本当の欲求、願望を表出させて欲しいと思っているならば、ぜひ応募して欲しいです。

NPが特別ではない、様々な教育の選択肢がある社会を実現するきっかけに

ー最後に、決済の会社であるNPがこのプログラムを実施する意義はなんでしょうか?

平間
NPのミッションは「つぎのアタリマエをつくる」です。それは何も事業に限った話ではなく、新たなより良い組織や文化をアタリマエにしていくことも含めています。

そしてサマーインターンは人の可能性を最大化しようというNPの文化が存分に詰まっているため、対外的に実施するのは広報的にも意義は大きいと思います。

三上
今回は全く収益みたいなところは考えていなくて、「想いを形にする」ことにチャレンジする会社であるということが発信されるといいなと思っています。ただ「つぎのアタリマエ」ということをかんがえると、この活動を広めていくためには事業化していくべきフェーズは来ると思っています。

今回も社員の「こういうことやりたい」が形になって実施するわけですが、事業化することで「ネットプロテクションズ=やりたいことができる会社」という認知になっていって、面白い人たちがどんどん集まってくるようになると良いなと感じています。

玉城
良いものであるなら、それを広く社会に対して提供していくのは自然の流れだと考えます。たまたま今回のタイミングでプロジェクトチームが結成されましたが、いずれかのタイミングでは必ずこの動きは発生していたのではないかと思います。ゆくゆくは事業化することもある気がしますが、それは提供し続けていく中で考えていけばよいのではないかと思います。

赤木
人にとってそもそも会社とは何なのかって考えると、利潤を生むだけじゃなくて「そこに入り、自己実現をできる集団であるということ」「それぞれが一人一人のやりたいことを応援できるという環境」だと思うし、それは公のコミュニティみたいなものの存在意義だと思っているんです。

社会に対して不安を感じているその状態ってやっぱりよくないなと思っていて、「おもしろいこといっぱいある」みたいな状態をつくりたい。そのうちの一つがネットプロテクションズであればいいなと思っているので、NPだけが良い環境であるのは健全ではない。

今回のような企画は、つぎのアタリマエをつくるための先駆けとして打ち出したいですが、異なる価値観を持った会社がその価値観に基づいて成長支援コンテンツを提供することで、多様な選択肢が世の中に増えるための、ただのきっかけであると良いなと思っています。

THINK FLAT CAMPがうまくいけばちゃんと成果を発信して、追随して多くの会社が企画し、NPだけができる特別なものじゃないという認識が社会に広がると美しいですよね。そのためにもしっかりと本気で向き合って、良いプログラムを提供したいと思っています。

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