ネットプロテクションズ柴田紳が考えるお金と信用の「つぎのアタリマエ」__THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№0

ネットプロテクションズ柴田紳が考えるお金と信用の「つぎのアタリマエ」__THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№0

わたしたちネットプロテクションズは、2018年10月30日に『貨幣の束縛』というテーマでカンファレンスを開催します。本カンファレンスは、参加者のみなさんと一緒に、“貨幣”を起点に信用や価値、そして未来の社会構造を考えることを目的としています。

開催に先立ち、カンファレンスに込めた思いを綴りました。2002年の創業以来16年「お金と信用」に関わる決済サービスを展開してきたわたしたちが感じる違和感とは。カンファレンス当日、どんなことを一緒に考えたいか。お読みいただいた上で、当日を迎えられたらと思います。

必要とされる「与信」とは何か? 性善説は成立する

決済サービスを長年運営してきて思うことのひとつが「与信とは何か」ということ。多くの会社が「与信」だと思ってお金と時間をかけてやってきたことの多くが、実は意味がないのではないかということです。

わたしたちが運営する「NP後払い」は、ECにおいて、商品が届いた後に支払いができる後払いを提供するサービス。つまり、払うかどうかわからない人を信用するサービスです。それまで事前の与信をしっかりとやっていた金融系の人からは「絶対に実現できない」と言われてきました。

しかし、蓋を開けてみると、既存の与信をしなくても、思った以上に人は支払いをしてくれました。一般的な社会常識以上に、人は信用できることを身をもって実感してきたのです。つまり、性善説は通用する。それがこの15年間の一番の学びです。

今の世の中は、基本的には性悪説、人を疑うことで成り立っており、そこに無駄な社会的コストが発生しています。そんな既存の社会に対して、わたしたちは「人は信用できる」ということを証明すると共に、性善説で人がつながるための社会を目指しているし、その土台づくりを行っているんだと思います。

目の前の人が信用できることを教えて、かつリスクはすべて胴元であるわたしたちが担保する。それによって、いちいち人を疑うことがなく、人とつながりやすくなる社会を実現できると考えています。相手を疑う必要がなく、様々なことが水のように流れる社会ができれば素敵だなと。

実際、今後の社会はそういう方向に進むとも感じているので、カンファレンスでは、これからの社会を担う参加者がどんな未来を描いているかを聞けるのが楽しみです。わたしとは世代が違う人も多くて、その人たちがお金とか信用というものをどう捉えているのか、知りたいし学ばせてもらいたいと考えています。

お金は便利だけど不便

カンファレンスのテーマでもある「お金」に対しては、個人的には便利だと思いつつ、不便さも感じています。価値交換のツールとして一定の役割を果たしているとは思いますが、お金のやり取りだけではこぼれ落ちてしまう価値もあるなと。例えば、目の前の人に心からの感謝を伝えたくとも、お金を渡したら不快な気持ちにさせてしまったり。

逆に、「お金を払うことがそんなに偉いのか?」と思うときもあります。たとえば、飛行機のファーストクラス。ものすごく丁寧なサービスを受けることができますが、「お金を払っただけでどうしてそんなにいいサービスを提供してもらえるのか?」と強く違和感を感じます。過度なサービスを受けると、その分だけ「自分は偉い」と勘違いしてしまいまうしお金を得ること自体に価値を求めやすくなってしますのではないかと、懸念があります。

たんなるお金だけでなく、その人の背景や社会に対する貢献に対してのサービスであればもう少し納得感があるかもしれません。いずれにせよ、世の中の多くの人がお金に価値を置き過ぎではないかと感じます。だからこそ、お金に対して、自分とは違う世代の人がどう考えているのか聞けるのは楽しみです。

また、お金に紐づく「労働」というキーワードにも関心があります。労働に対しては、世代ごとに捉え方が本当にずれてきていると感じます。わたしたちのような40歳以上だと、社会貢献などを掲げつつも「お金は大事でしょ」みたいな価値観は前提としてあるような気がします。だから「お金をもらっている以上、仕事はつらくて当たり前」みたいな価値観が根強く残っているものです。

ただ、今後はAIやロボットによっていわゆる生産労働は代替されていくと言われています。つまり、「やらなければならないこと」が減り「やりたいこと」に向かいやすくなるのです。そうなってくると、人は何をするのだろうか。やりたいことに集中できるようになって、労働はしなくなるのかもしれない。例えば、誰かに貢献をすることだったり、何かを表現したり、体を動かしたり、それぞれの人がやりたいことが分散していくのかもしれない。そんなことを考えています。

一方で、技術の発展で人間がやらなければならないことが減るだけでは、社会が「やりたいこと」に向かうかどうかはわからないとも感じます。それこそ、資本主義の矛盾とか、性悪説による多様性を押し殺す社会とか、そういった「社会的な制約」を外していかないと、綺麗な世界は成立しないのではないかと。

若い人が考える世界が実現される

いずれにせよ、わたしたちの世代がどう考えるかではなくて、いまの10代20代の若い人が思う世界に進んでいくのだろうなと思います。若い世代は、わたしたち世代のようにものを所有したり、それを見せびらかしたりすることに幸せを見出さなくなっている流れは間違いなくあると思います。むしろ、所有はダサい。

そんな考え方に触れていると、これまで自分が持っていた自分の概念も変わってきて、家族がいて、生きていくためのお金があったらそれ以上いらないと、心から感じるようになりました。遅かれ早かれ、若い人がそう考えている以上、社会は本当にそうなっていくんだろうなと。

ただ、それがどんな社会になるかは、まだいろんな方向性に行く可能性があります。適切な方向に進むためには一定の刺激が必要で、カンファレンスではお互いに刺激を与え合う場になればいいと思います。わたしたちもその場から学びたいですし、企業として学んだ上で何かをする一定のパワーもあるので、少しでも良い社会になっていくように、学びをいかしたいですね。

THINK ABOUT CONFERENCE Vol.1『貨幣の束縛』

「貨幣」を起点に信用、価値、そして未来の社会構造を考えるカンファレンス。
米良さんをはじめとした有識者の方を招いたパネルディスカッション(インプット)とワークショップ(アウトプット)を通して、参加者と共に未来を考える場にしたいと考えています。

カンファレンスの詳細はこちら

他カンファレンス特別企画記事は以下より

「商品づくり」を通して貨幣の束縛を超える。タルマーリー店主渡邉格と考えるお金の未来_THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№1

貨幣が人間を育ててきた。歴史論者 三石晃生と考えるお金の歴史_THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№2

テクノロジーが変える貨幣と国家。斉藤賢爾と考えるシンギュラリティの先にある社会の姿_THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№3

信用が可視化される社会の到来。READYFOR 米良はるかと考える個人とお金_THINK ABOUT CONFERENCE『貨幣の束縛』特別企画№4

お金がなくなる日がやってくる——信用×Techがつくる新しい社会とは(インタビュイー:山口揚平 ※Business Insider Japanより転載)

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執筆者:THINK ABOUT 編集部
THINK ABOUTを運営するネットプロテクションズの社員によって構成される編集部です。
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