今回の企画は、「日本マーケティング本大賞2024」に選ばれた『エフェクチュエーション:優れた起業家が実践する「5つの原則」』の著者、吉田満梨先生のティーチングアシスタントを務める、株式会社スナックレモネードの谷口千鶴代表をお招きし、ネットプロテクションズの代表柴田と執行役員である石田が、理想の組織についてお話しました。

ゲスト略歴
谷口千鶴氏
株式会社スナックレモネード代表取締役社長。岡山理科大学非常勤講師。ギャラップ認定ストレングスコーチ。 関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科修了。経営管理修士(専門職)。 2021年当時国内唯一だったエフェクチュエ―ション専門授業「イノベーション実践」修了。

ネットプロテクションズ
代表取締役社長 柴田 紳
1998年に一橋大学卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。煙草事業に3年間取り組んだ後、IT系 投資会社であるITX株式会社に転職。すぐに株式会社ネットプロテクションズの買収に携わり、2001年より出向、 2004年に代表取締役に就任。何もないところからNP後払いを創り上げ、多方面から「絶対に不可能」と言われた事 業の黒字化に成功。世にない新しい価値を提供する。2021年5月に「日本後払い決済サービス協会」会長に就任。 世の中を変革する事業を創造すると共に、人が人らしく、幸せを最大化できる組織づくりに強いこだわりを持ち、事業 においても組織風土においても「つぎのアタリマエをつくる」というミッションの実現を目指している。

執行役員 石田 淳也
1998年に法政大学卒業後、2000年にインターネットセキュリティシステムズで法務の立ち上げを担当。2003年にビットワレット株式会社入社、法務立ち上げ後、渉外・アライアンス・海外事業に従事。2012年株式会社ジェーシービー入社後は、プリペイドサービスの商品開発を担当。2018年に株式会社ネットプロテクションズに入社。JCBとの資本業務提携をはじめとしたカード会社や地銀等とのアライアンスを牽引。現在はBizDev/アライアンス/営業領域の執行役員として事業推進。
現在、ノウタス株式会社の取締役、みらい株式会社およびスターフィールド株式会社の顧問も務める。

<エフェクチュエーションとは>
エフェクチュエーションは、不確実な状況下での意思決定方法として近年注目されている理論です。
熟達した起業家に共通してみられた思考様式を経営学者のサラス・サラスヴァシー教授が5つの原則にまとめています。
・「手中の鳥」の原則:目的主導ではなく、既存の手段主導で何か新しいものを作る
・「許容可能な損失」の原則:期待利益の最大化ではなく、損失(マイナス面)が許容可能かに基づいてコミットする
・「クレイジーキルト」の原則:コミットする意思を持つ全ての関与者と交渉し、パートナーシップを築く
・「レモネード」の原則:予期せぬ事態を避けるのではなく、むしろ偶然をテコとして活用する
・「飛行機のパイロット」の原則:コントロール可能な活動に集中し、予測ではなくコントロールによって望ましい成果を帰結させる

逃げないことが一番大事。ネットプロテクションズの経営哲学の原点は家族から

谷口さん:ネットプロテクションズの経営哲学はいつ頃生まれたのでしょうか。

柴田:私は2002年から事業をスタートした頃からBtoB、会員制、海外進出など収益の上がる事業ロジックや未来は描いていたんですが、 ビジョンについては最初の数年はあまりはっきりとはありませんでした。事業を積み重ねていく中で2012年頃に大切にしていた「メンバーがみんな幸せであるようにうまくやっていく」など今の原則に繋がっている気がします。
最初の数年は組織も会社も何もかもマイナスからのスタートだったので非常に大変でした。

谷口さん:よく投げ出されませんでしたね。

柴田:そうですね。大企業を辞めて転職してきているのに、逃げるんだったら転職しなきゃよかったのにと思ってました。失敗するのはいいけど、逃げるのはありえないと。

谷口さん:子供の頃から逃げない性格だったのでしょうか。

柴田:昔から「逃げないこと」は意識してましたね。親からもずっと言われていました。私は、小学校は野球のキャプテンだったんですけど、中学校の時は補欠になってしまいました。友達から笑われたり、親からも「いつも行くたびにユニフォーム綺麗よね」とか言われたり(笑)
それで他の人は全員辞めたのですが、僕だけ辞めませんでした。その時に親から「スポーツができるとかより補欠の気持ちがわかって、それでも逃げないのは、人生で一番大事」みたいなことを言われてすごく褒められたんです。

谷口さん:それは素敵なエピソードですね。私が神戸大学の吉田満梨先生と属している「エフェクチュエーション」実践サロンでも、自己肯定感の高い人が多いです。ここは経営者が多くあつまるコミュニティーなのですが、あまりに物事への向き合い方が肯定的でエネルギッシュでしたので、経営者と親との関連が気になり、コミュニティーの内外で、どのように育てられたのかをインタビューしています。すると、幼少期から家族が「あなたはそのままでいい」「やればできる」など言われ続けてる方が多い傾向にあります。
 40人ぐらいしかまだインタビューできていませんが、ほとんどの方が親に対して「感謝している」「大事に育てられた」などポジティブな感情を持っています。


後押ししてくれる人の存在が一番のやる気につながる

柴田:自分を信じていてくれる人がいないと、辛い状況の中、挑戦していくことは絶対できないですよね。やればできるとか、何かしら自分を信じる気持ちがないと他人を信じられないと思います。社員に対してどの部分を信じて自由にして、一方でどの部分を会社に合わせなきゃいけないのかなどは親から学んだことは多いと思います。

谷口さん:受けた子育てを今会社で実践されているんですね。素晴らしいです。
振り返って柴田さんが辛い時期に一番必要だったことはどんなことだと思いますか。

柴田:一番必要だったのは、やはり大丈夫と応援してくれるメンターの存在だったなと感じていますが、当時の私にはいませんでした。だから自分が優秀な人を後押しする存在になりたいと思ったのも、今のネットプロテクションズの太い軸だと思います
現在、ネットプロテクションズは、正社員の平均年齢が30歳と若手で構成されているので、その成長環境において、活躍するための基礎作りを手厚く提供するだけではなく、メンター制度も充実していて、QS(Quarterly Support)制度というものがあります。自分よりキャリアの経験が豊富な先輩がついて、業績のフィードバックやキャリアのメンタリングを日々行い成長をサポートしています。
全力でモチベーションを解放して仕事をしてもらうためにはどんな環境が必要なのかをずっと考え続けています。

人事制度「Natura」の制度背景の詳細

谷口さん:伝統的な日本企業からネットプロテクションズに転職してくると環境の希少性や良さが実感できるのではないでしょうか。

柴田:そうですね。私も大企業に入った時の環境は今のネットプロテクションズとは真逆だったので自分でも嬉しいだろうなと思います(笑)

谷口さん:石田さんは実際にネットプロテクションズで働いている中でどう感じていますか。

石田:働く環境の良さを実感しているので、誰かに頼まれているわけではないのにハードワークを自ら進んでやっています(笑)自由に働くことが許されている分、その責任はちゃんと自分で取ろうということで、失敗を否定しない親のような環境があれば、人はチャレンジできて成功体験を積んでいけるのかなとか思いました。
ネットプロテクションズの良いところは、信頼して任せてくれたり、環境を与えてくれたりするので、それをお返しできるくらい自分も会社に貢献しないとと思いながら働く方が健全だと思いますね。

谷口さん:柴田さんは約300人の社員を全員ニックネームで呼べると伺いました。

柴田:そうですね。新卒や中途の社員と全員半年間以上かけて、座談会をやっています。5人くらいで毎月1時間とり、1人10分強の近況を報告してもらっています。他の人はみんなそれぞれの話を聞いて議事録を取るという形の座談会です。それを毎月何回もやっていくので、その過程でみんなと仲良くなったり、メンバーの業務を把握したりしてます。

谷口さん:すごいですね。東証プライムに上場して会社としての組織が拡大してもなお、社長が時間をかけて社員とのコミュニケーションを大切にしているというのは、ネットプロテクションズがユニークな組織でありながら成果を出しているキーポイントだと感じました。

おわりに

鼎談は1時間半に及びました。柴田がこれまで公の場で話されてこなかった、会社の初期の苦労話や幼少期の話など、現在のネットプロテクションズにつながるエピソードが語られ貴重な時間となりました。

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