年間数千億円規模の決済を支えるネットプロテクションズ(以下、NP)。多くの人にとって、NPは「後払い決済の会社」として認知いただいています。しかし今、NPのエンジニア組織は、決済サービスの枠組みを超え、次なるフェーズに向けた大きな転換点にあります。
エンジニアリングのあり方をどう再定義するのか?取締役CIOの山下と技術現場のリーダー相澤に展望を聞きました。
プロフィール
山下 貴史(Yamashita Takashi)
取締役CIO(Chief Information Officer)。事業成長と技術推進の両輪を担い、リスク管理・ガバナンス強化に加え、エンジニア領域の管掌役員として新規事業や社会実装を牽引している。
相澤 雄大(Aizawa Yuta)
VP of Architecture。NPの技術組織全体をリード。決済システム開発や「atone」の立ち上げを経て、現在は技術ブランディングや組織設計、アーキテクチャの高度化を推進している。
複雑な決済ドメインに挑み続けてきたティール型組織におけるエンジニアの現在地
ー現在のNPのエンジニア組織がどのような環境に置かれているのか、現状の立ち位置を教えてください
相澤:私たちの主戦場である後払い決済は、商品を販売する事業者や購入者、金融機関など多岐にわたるステークホルダーが絡み合う、極めて難易度の高いドメインです。与信から請求、回収という一連の経済活動を裏側で滑らかにつなぐには、単なる仕様通りのシステム構築ではなく、『ビジネスの構造そのものをどうソフトウェアに落とし込むか』という、高度なプロダクト開発が求められます。
これまで私たちは、この複雑な決済事業の中でデータを積み上げ、常にシステムとビジネスモデルを同時に進化させてきました。その過程で培われたのは、メンバー一人ひとりが自律的に動き、技術を使って社会の課題を解決しようとするカルチャーです。現在、NPには「自ら行動し、社会実装に挑戦する組織」という強固な土台ができあがっている状態にあります。
山下: NPでは、会社としての目的と、個人が「これをやりたい」という意志を可能な限り合致させることを大切にしています。指示や命令で動くのではなく、高いモチベーションを持って自律的に事業を推進する。これがティール型組織の基盤であり、複雑なドメインを攻略し、成果を最大化するための強みになっています。
ーそのような土台がある中で、今後3〜5年を見据えた際、NPのエンジニアリングはどこへ向かうのでしょうか?
相澤:一言で言えば、決済事業で得たアセットを活用し、新たな事業を社会実装することです。
これまでのNPは、「後払い決済」という特定のドメインに集中することで成長してきました。しかし、私たちが今後目指す到達点は、既存の決済サービスの拡大だけではありません。
これからの技術戦略の核心は、これらを決済サービスの裏側の仕組みに留めるのではなく、各機能を独立したコンポーネントとして磨き上げ、単独で外部へサービス提供できるようにすることにあります。例えば、「与信機能」だけを切り出して他社のサービスに活用してもらったり、トランザクションデータを活用して新たなサービスを生み出したりと、進む方向は決して限定されません。システムを単一事業のための箱から、多角的な価値を生み出す汎用的なプラットフォームへと作り変えるフェーズに入っています
山下: 私たちは単にコードを書いているのではなく、20年分の信用データという極めて重要な資産を運用しています。もちろん、こうしたデータ活用においては、適切なガバナンス体制のもとで責任ある運用を行うことが大前提です。その上で、技術の力で安全に資産の価値を最大化し、決済の枠を超えた領域でマネタイズしていく。これが経営と技術が一体となって描いているロードマップです。
規模拡大に耐えうるアーキテクチャの探求とモダンな技術スタックの活用
ー事業が多角化し、システムが複雑化する中で、現在はどのような技術的アプローチをとっていますか?
相澤:プラットフォームに向き合い、大規模なトランザクションに耐え、複雑化を防ぐためのアーキテクチャ戦略が重要になっています。例えば、データの整合性を担保しつつパフォーマンスを出すために、ドメイン駆動設計(DDD)、CQRS(コマンドクエリ責務分離)、イベントソーシングといった高度な設計パターンを積極的に探求・採用しています。一部の新規事業においては関数型DDDを採用している事例もあります。
また、言語選定のあり方も進化しています。コア事業を支えるRuby on RailsやGo言語を継続して発展させつつ、直近では既存資産と生成AIを掛け合わせて最適化を狙ったJVMベースのKotlinを採用する事例が増えています。単なるトレンド追従ではなく、ビジネスと開発の双方に最大のメリットをもたらす最適な技術スタックを追求しています。
継続育成する「BA」と、技術を究めて価値を生む「技術のエキスパート」
ー高度な戦略を実行するために、エンジニア組織には何が求められますか?
相澤: NPではこれまで、ビジネスの構造を深く理解し、事業とシステムの両方を設計・実行できる「ビジネスアーキテクト(BA)」という人材の育成を大切にしてきました。このBA人材は、会社の成長において依然として非常に重要であり、今後も引き続き育成と支援を行っていきます。
一方で、事業の多角化やシステムの複雑化が急速に進む現在のフェーズでは、難解な技術課題を突破し、その技術力を価値へとつなげる技術エキスパートの存在が不可欠になっています。事業を牽引するBA人材の育成を継続すると同時に、高度な技術的専門性を極め、アーキテクチャの高度化や技術的イノベーションをリードできる人材を迎え入れ、双方が多様な強みを融合させて価値を創出していく組織体制へのアップデートを進めています。
ー具体的に、どのような職種のエンジニアを求めているのでしょうか?
相澤:あらゆる事業で技術を牽引する「テックリード」や、組織全体をマネジメントする「エンジニアリングマネージャー(EM)」は強く求めています。また、アーキテクトへ育つ入り口としても期待しているプロダクト志向の「バックエンドエンジニア」や「フルスタックエンジニア」、大規模トランザクションを支える基盤構築を担う「インフラエンジニア」など、多様な職種で専門性を発揮できる環境が整っています。
山下: 今年に入って「セキュリティ」「生成AI」「技術組織開発」という3つの専門部門が新たに立ち上がっています。「あなたはこの役割だから、これだけをやって」とロールを固定化しないのがNPのユニークな点です。全体最適を考えるBAとしてビジネスの限界を突破してもいいし、特定の技術を突き詰めるエキスパートとして事業に貢献してもいい。多様な強みを持つ人材が融合し、モチベーション高く協働できる組織へとアップデートを進めている最中です。
「御用聞き」にならない。技術から事業をリードするキャリア
ー最後に、このフェーズでNPに参画する醍醐味を教えてください。
相澤: 今のNPは、整ったシステムを運用するだけのフェーズではありません。巨大な資産を抱えながら、それをどう技術で再構築し、次の10年の収益基盤に変えるかという、非常に難易度の高い構造改革の真っ只中にあります。 システムと組織がどうなっていくかが、企業としての強さに直結します。未来の事業構想から逆算して、組織とアーキテクチャの両面を最適化し、最大出力を出せる環境を作っていきたいですね。
山下: NPには組織や役職の垣根を越えて協業するカルチャーがあります。 社内調整に労力を割くのではなく、事業推進や社会への価値提供にフルコミットできる環境です。言われたものを作るのではなく、ビジネスの企画フェーズから関与し、技術起点で事業をリードするエンジニアを増やしたいと考えています。
NPには、全体最適を司るBAとして事業を牽引する道もあれば、高度な専門性を突き詰めるエキスパートとしてアーキテクチャを刷新する道もあります。自ら課題を見つければ、役職の垣根を越え自律的にチームや新規事業を創り出せる活躍の舞台が用意されています。チームで成果を上げ、技術を通じて手触り感のある社会貢献をしたいという方には、これ以上ない環境だと思います。ぜひ、一緒に挑戦しましょう。