NPが向き合っているのは、決済の効率化ではありません。本来挑戦できたはずの人や機能の可能性が閉ざされてしまうという、社会に存在する構造的な歪みを、決済を通じて解決しようとしています。なぜNPはその課題に向き合うのか。そして、その思想がどのように事業や組織、さらには個人の成長にまで一貫してつながっているのか。代表・柴田へのインタビューを通して、その根底にある考え方を紐解きます。

常識の外に出て初めて、その歪みが見える

「つぎのアタリマエをつくる」とは、どういう意味ですか?

この言葉は、2012〜2013年頃に社員みんなで議論して決めました。具体的に定義してしまうと、それ自体が制約になってしまうと思い、あえて抽象度を残しています。

2002年に後払い決済サービスを作った時、相談したほぼ全員に否定されました。「そんなビジネスが成立するわけがない」「見ず知らずの消費者のリスクを全部取るなんて無謀だ」と。ただ、それが今では年間約1,500万人のユーザー数を誇る事業にまでなりました。
この経験から強く思ったのは、「次の当たり前になるものは、必ず最初は否定される」ということです。だから、これは決して綺麗な言葉ではなく、本気で何かを実現させたいのなら、逆風の中でも前に進み続ける覚悟が必要になる。そういう意味も含めて、「つぎのアタリマエをつくる」という言葉にしています。
考えてみれば、今の常識に当てはまらないものって、どの分野にも存在しますよね。だからこそ、可能性を狭めないためにも、言葉の抽象度はなるべく保ちつつも、会社として目指したい方向性はしっかりと示す。そのバランスを大切にしています。

全員に否定されながらも、なぜ前に進めたのですか?

考えれば考えるほど、ロジックとして成立する気しかしなかったんですよ。だから、人の言葉を信じるというよりも、自分のロジックを信じていました。
加えて、僕は当初はベンチャーキャピタルから出向して参画してきた立場だったので、「全力でやって失敗するならしょうがない」という、ある種の割り切りもありました。
結果的にこの意思決定は、「世の中の人が言う常識って、絶対それしか正解がないわけじゃないな」と、心から思えた大きな原体験になりました。

もともと「常識を疑う」タイプだったのでしょうか?

いや、全く違います。むしろ、主流であることが一番好きなタイプでした。有名大学に入って、ステータスと給料がいいという理由で商社に入り、既定路線の中であまり疑問を持たずに頑張ってきた人間です。
初めてレールを外れたのが商社からの転職で、これが人生で最も勇気のいる決断でした。当時は大企業を辞めること自体が否定されるような時代で、仕事がもらえなかった3年間を通じてスキルも何もついていなかったので、すごく怖かったんですよね。
それでも自分のやりたいことを選んだことで、初めてレールの外に出ました。
今、常識から外れてみると、日本は特に「常識」にとらわれすぎている社会だなと感じますね。もっと自由に考えていいのにな、と。NPに入ってくるメンバーは、学生時代に人と違う経験や考え方をして、常識に違和感を持ってる人は多いかもしれませんね。

NPが解いているのは、「信用の歪み」

「つぎのアタリマエをつくる」という思想と、今の事業はどう繋がっているのでしょうか?

もともと決済サービスをやりたかったわけではありません。ただ、後払いの事業に関わる中で、「こんな可能性のあるビジネス、もう一生出会えないな」と思ったんです。
お金とモノの交換には必ず「タイミングのズレ」があり、必ずどこかにリスクや不が生まれると思ってるんですよね。その歪みをNPが引き受けることができれば、あらゆる取引が成立しやすくなります。しかも、それは一つの領域に閉じずに、BtoCにもBtoBにも広がっていく。そう考えた時に、「こんなに拡張性があって本質的な課題に向き合える万能なビジネスはないな」と思えたんです。
つまり、私たちは決済会社というより、「信用を補完するインフラ」をつくることで、これまで機会を持てなかった人や企業が挑戦しやすい社会をつくっているのだと思っています。
まさにこれが「ひとの可能性をひらく」という自分のやりたいことと、一番強く繋がる手段でした。

「ひとの可能性をひらく」にはどういった思いが込められているんでしょうか?

これも3年くらい前にみんなで議論して決めましたが、自分の中での原点はそこよりももっと前にあります。

総合商社にいた新卒の頃、組織の中で機会を与えられず、「このままだと自分の人生の可能性が潰される」と感じたことがありました。だからこそ、人の可能性を潰すことに対しては、強い憤りを感じます。NPで新卒採用を始めてから、「彼らの人生の可能性をできるだけひらいてあげなきゃいけない」という思いはより強くなっていきました。
事業も同じで、僕たちがやっているのは「一番弱い立場の人や会社の信用を底上げすること」なんですよね。それによって、本来機会を持てない人や企業の可能性が開かれる。事業そのものが「ひとの可能性をひらく」ための仕組みになっていると思っています。

信頼を前提に機会を広げ、人と組織の可能性をひらく

 今の組織では、どのように人の可能性が引き出されているのでしょうか?

「どうすれば人の可能性を一番発揮できるか」を考え続けた結果、ティール型組織(※参照)にたどり着きました。これも初めはものすごく批判されましたが、事業で常識を破ったなら組織の常識も突破できると思い、推し進めて行ったんです。
上司から指示される構造ではなく、「自分たちで考えて決める」ことを前提にしているので、自然とリーダーが育ちます。実際、300人規模の組織で10以上の事業がありますが、そこには多くのリーダーがいます。

従来の組織ではこんなに多くのリーダー人材が若いうちに育つことは難しいと思います。上からの指示を受けて縦割りで実行することは、一見効率的に見えます。しかし、実際には人のアウトプットを制限してしまう構造なので、階層が増えて非生産的になるのです。一人ひとりの役割が小さくなると、考える範囲が狭くなり、横のつながりも弱くなるので、結果的に新しいものが生まれにくくなります。何より人が育たないので、「可能性をひらく」とは真逆だなと感じたんですよね。

ティール型組織にしてずいぶん時間が経ちますが、本格的にその強みが出るのはここからだと思っていいます。事業の成長によってアセットが蓄積され、取り組めるテーマや意思決定の機会が増えてきているからです。
NPでは1年目から事業の未来を議論する場に関われるので、多くのメンバーが当事者として推進を担える構造になっています。その結果、全員が「フロー状態」となって事業をドライブできる状態が生まれつつあります。

人材は、どのように育まれているのでしょうか?

「育てる」という感覚ではなく、「邪魔しないこと」に徹しています。僕は、人は本来自立しているものだと思っているので、その思想で制度や評価の仕組みも作ってます。
その中で自然と鍛えられていくのが、次の3つの力です。

1つ目が、「ビジョンを描く力」です。事業の理想や存在意義を日常的に問い続けることで、理想を構想する力が磨かれます。事業だけでなく、自分自身の人生のビジョンについても考える機会が増えます。
2つ目が、「プロジェクトを推進する力」です。NPは基本的にプロジェクト単位で物事が進むので、早期からリーダーを任されることが多いんです。ここで、自分で考えた理想を形にしていく力が鍛えられます。
3つ目が、「組織をつくる力・コラボレーション」です。NPでは360度評価により、評価や他者の成長支援にも早い段階から関わるので、人を見る目も養われるし、チームとして成果を出す視点も自然と身についていきます。

この「ビジョン構築・プロジェクト推進・組織構築」の3つが育っていくほどバンド(グレード)が上がっていく構造になっています。
これらは、事業をつくる力であると同時に“自分の幸せをつくる力”だと思っています。幸せとは「自由に選択できる状態」をどれだけつくれるかであり、この3つの力は、その状態を実現するための基盤になるものです。

これらの力が育まれる状態は、どのように作られているのでしょうか?

まず、大前提として会社全体への「信頼」がベースになくてはなりません。仲間や経営に対する信頼があるからこそ、思い切り前を向いて、挑戦することができる。
そのためには、経営や意思決定のプロセスが見える状態であることが重要です。例えば、私自身が新卒・キャリア採用問わず新入社員全員と座談会を行ったり、社内のほぼ全ての会議の議事録・情報を共有したりしているのも、何を考え、何をしているのかを直接伝える機会になっています。物理的・心理的な距離が近いことで、不要な誤解や邪推が生まれにくくなるのです。
逆に、信頼がない状態では、すべてをコントロールする必要が生まれてしまい、人の主体性は発揮されません。私たちは事業においては「信用」を補完し、組織においては「信頼」を前提に設計することで機会を広げ、その結果として自分の人生を切り拓ける人が増えていくと考えています。

新しい組織のあり方を成果で証明し、働くことが幸せな社会を目指す

次に実現したいことは何ですか?

最終的には、「組織で働くこと自体が、もっと幸せになる社会」をつくりたいです。今の組織のあり方って、「ひとの可能性をひらく」という観点で見ると、まだまだ制約が多いと思うんですね。もっと自由に、自分の可能性を発揮しながら働けるようになったら、社会全体の雰囲気もかなり変わると考えています。だからこそ、うちの組織でそれを証明したい。
そのためには思想だけでなく、ビジネスとしての成功も必要です。だからこそ一つの目標として、時価総額1兆円を掲げています。そうなって初めて、この組織のあり方が社会に証明されると思っています。

最後に、これから意思決定をする学生にメッセージをお願いします。

「自分の可能性に上限をつけないほうがいい」ということですね。僕自身、大学生の頃に想像していたより遥かに上のところまで来ていますし、正直そこまで自分に力があるとも思っていませんでした。
だからこそ、20歳といういくらでも失敗できるタイミングで、保守的な意思決定をするのはもったいないです。最近は不確実性も高くて、どうしても安全な選択を取りがちだと思うんですけど、それが本当に合理的かは、一度考えてみてもいいんじゃないでしょうか。
思いっきり転んで2度と這い上がれなくなる、みたいなことはそんなに発生しないと思うんですよ。うまく行かなくてもそれ自体が良い経験になるので、だからこそ「自分はどこまでいけるのか」を上限を決めずに試してみてほしいですね。特にNPの環境は、本気で自分の可能性を試したい人にとっては最高にフィットすると思います。

ブログ内検索

関連ブログ

View More