「NP後払い」は2002年に通販事業者様向けの決済ソリューションとして誕生した、日本で初めての債権保証型の後払い決済です。
そこから15年後の2017年、通販・実店舗でも使え、ポイント値引きによるお得なお買い物を実現した後払い決済サービス「atone(アトネ)」をリリースしました。

今日では、1,500万人が使う決済インフラにまで成長した、2つの決済サービスですが、サービス拡大には、ネットプロテクションズならではの審査の仕組み(以下、与信)が非常に大きく貢献してきました。

本記事では、それぞれの事業責任者に、与信の思想やそれを実現するための戦略、また、これから実現したい信用創造の未来について聞きました。

プロフィール

上田 遼河(Ueda Ryoga)

NP後払い」B2Cサービス&プロダクトグループ 責任者。
2019年新卒で入社。コールセンターのマネジメント、リスクコントロール、新機能開発を経て現職に。

井上 知輝(Inoue Tomoki)

atone事業統括責任者。
2018年新卒で入社。海外事業で開発を経験。その後「atone」のセールスや開発の経験を経て現職に。

「まずは信じて、与信を通す」という思想が、25年間ブレなかった理由

「与信」と聞くと、年収や職業を伝える必要があったり、落ちる場合もあって厳しいものを想像してしまいます。ネットプロテクションズ(以下NP)が貫いてきた、「NP後払い」独自の与信の考え方を教えてください。

上田: 他の信用情報機関を使わず、審査の判断はすべて、自社で25年かけて積み上げたデータとロジックによって行っています。考え方はシンプルで、まずなるべく全員に使ってもらって、その後実績を見て払わない人の利用を制限していく。この方針をブレずにやり続けています。途中で発生しうる未払いコストも投資と捉えて多くのデータを獲得しています。結果として、高い審査通過率と低い未払い率の両立を実現し続けています。

この思想は、最初から確立していたものなのでしょうか?

上田: 正直に言うと、思想の正しさだけで成り立っていたわけでもないと思います。後払い決済という概念自体がまだ世の中になかった時代、世の中にまだ広く知られていない決済事業者の独自の審査で落とされると、お客様が困惑してしまうという状況があったと聞いています。単純に「性善説のサービスが良いよね」という思想だけで運営できていたのではなく、当時の市場環境の中で、全てのリスクをNPが負い、お客様を信じて受け入れざるを得なかった部分もあったと思っています。

ただ、どちらが先かは別として、「性善説で与信をする」という考え方が自分たちのやり方として腹落ちしていたからこそ、ここまでブレずに続けられてきたとも思っています。市場の必然と、自分たちがやりたいことが重なっていた。それが25年続いてきた理由じゃないでしょうか。

「atone」の与信の考え方はどうですか?「NP後払い」と共通する部分、異なる部分も教えてください。

井上: NPが性善説に基づいてサービスを築いてきた姿勢は、「atone」にも共通しています。特に「atone」はNPがまだ参入したことのない業種・業態に積極的に展開することが多いのですが、データがない中でもまず使ってもらう、という考え方は変わっていません。

与信の考え方として異なるのは、会員という概念がある点です。「NP後払い」は請求をアウトソースする手段としての色合いが強いですが、「atone」はもっと消費者に身近に感じてもらえる決済を目指しています。あらゆるシーンで使えるようにするためには、どんな形式でも必要な情報を受け取れるようにする必要があったので、共通のインターフェースとして会員化を行っています。

与信チームが「未払い率を下げること」だけでなく「通過率を上げること」も追いかけているというのは、NPとして特徴的な部分だと思います。なぜそれが組織に根づいているのでしょうか?

井上: 与信を厳しくしすぎると加盟店やお客様に当然影響があります。その反響は営業やコールセンターがまず受け取ることになるため、通過率と未払い率の最適なバランスをとるべく、部門を横断した連携が日常になっていきました。 こうした背景があり、お客様と加盟店とNP、ステークホルダー全員のバランスを取った与信をすることが、みんなの間で共通認識になっています。

上田: 会社のコンピテンシーとして経営視点を持つことが組み込まれているので、自然とその意識が育ちやすい土壌がありますよね。PL全体を俯瞰して見ると、未払い率を下げるだけでなく通過率を上げることでも収益にプラスの影響が出ることがデータで見えてくる。最終的に利益を最大化するという観点でも、両輪で追いかけることに確かな合理性がある。そういった経営情報が全員に見える状態になっていることも理由だと思います。

25年分のデータで、与信を磨き続ける

与信の精度を上げるために、どんなデータをどう使っているのか教えてください。

上田: 基本的な考え方は、通過率と未払い率という相反する2つの指標を同時に追い続けることです。未払い率だけ見れば、与信を厳しくすれば下げられる。でもそれだけでは加盟店の売上に貢献できないし、ビジネスとして成立しないですよね。

与信結果がNGになっている取引に対しては、どういった特徴を持っていれば与信を通すことができるのかといった仮説を立てて検討する。反対に与信結果がOKになっている取引に対しても、どういった傾向があれば、与信を通さずにおくべきなのかを分析する。どこまで通して、どこで止めるか、その最適点を取引の特徴をもとに泥臭く分析しています。また、与信チームが見ているのは与信の数字だけではなくて、コールセンターに届くお客様の声や、営業から上がってくる加盟店の反応などの定性情報も含めて参考材料にしています。

井上: 「atone」は会員という概念があるので、1人のお客様を時系列で見ることができるという違いがあります。この人が過去にどんな利用をして、今どんな状態にあるかを縦断的に把握できる。それによって、取引ごとに判断するだけでなく、この人にいくらまで上限金額を与えられるかという参考金額の考え方もできるようになっています。利用シーンが幅広い分、ユーザー軸でもコントロールする必要があって、そのためにデータの使い方を変えています。

データとアルゴリズムで与信を磨くその面白さはどこにありますか?

上田: 答えが一つじゃないところだと思います。未払い率を下げることと通過率を上げることは、どちらかを立てればどちらかが犠牲になりやすい。でも実際にデータを掘っていくと、両方にプラスに働く発見が出てくることがある。それが面白い。

井上: しかも正解がずっと変わり続けるんですよね。利用シーンが増えるたびに、これまで見たことのないユーザーのデータが入ってくる。新しい業種・業態に入れば、そこには後払い決済を使ったことがない人たちのデータが初めて積まれていく。その都度、既存のロジックが通じるのか、チューニングが必要なのかを検証し直す。与信のアルゴリズムは、事業が成長するほど問い直される。終わりのない精度向上の仕事です。

上田: 事業の収益全体への影響を意識しながら動けるというのも、この仕事の特徴だと思います。与信の判断が直接売上と損失の両方に跳ね返ってくるので、自分の意思決定がビジネスにどう効いているかがデータで見える。それが単なる分析の仕事とは違う面白さだと思っています。

「NP後払い」の土台があるからできること、競合するのではなく増幅する

「atone」は「NP後払い」とは異なる市場を開拓しています。どういう構造の違いがあるのでしょうか?

井上: 「NP後払い」はEC物販の中で非常に強固な地盤を持っていますが、その外側に構造的に異なる市場が存在しています。デジタルコンテンツやユーザーを会員として継続的に管理することが前提になる業種・業態です。「NP後払い」は「会員登録なしで、取引ごとに、紙の請求書で払う」という手軽さが強みである反面、そうしたサブスクリプション型の支払いには構造的にフィットしにくい部分がありました。そこで「atone」は、会員登録型にし、月々の利用分を「まとめて翌月払う」という仕組みにすることで、その未開拓の市場を意図的に狙って展開してきました。

その挑戦を可能にしたのは何でしたか?

井上: 「NP後払い」が25年かけて積み上げた資産があったからです。新しい業種・業態に入っていく時、最初はデータがない状態から始まります。でも与信のアルゴリズムの土台や、すでに積み上がっている支払いデータがあるので、「NP後払い」 がすでに対策済みの不正や詐欺に対しては、万全な状態でスタートできました。

会員数という観点でも同様に、「NP後払い」が積み上げた資産を活用できています。会員数は決済そのもののニーズの高さを表していたり、またキャンペーンを行った際の効果を大きく左右するので、加盟店を開拓する上でも非常に重要な指標です。そのため、多くの決済事業者が莫大な広告費を投下し会員獲得を必死で行っています。「atone」の場合は、既にNPの後払い決済を使ってくださっているお客様が多くいる状況だったので、広告費をほぼかけずに会員を集めることができました。

上田: データや加盟店だけでなく、ノウハウの共有を積極的に行うNPの文化・風土もありますよね。与信構築や不正対応、オペレーション構築等の知見が、メンバー間で「NP後払い」から「atone」に橋渡しされている。事業間のセクショナリズムがないから、そういう動きが自然にできている。NP後払いが先に経験してきたことを、「atone」は最初から活かせている。

立ち上がりの過程で、壁になったことはありましたか?

井上: 正直に言うと、紆余曲折はありました。2012〜14年頃からプロジェクト自体は動いていたんですが、当時株主から止められています。「NP後払いと競合する、NP後払いが伸び盛りなのに投資する余裕はない」という判断でした。その後リリースしてからも、最初は「NP後払い」の加盟店へのクロスセルを頑張っていた時期があって。でも、「NP後払い」で満足している加盟店からすると後払い決済はもう揃っている、「atone」を入れても入れなくてもいいという状態で営業が始まるので、なかなか導入が進まなかった。

ただそれは、「NP後払い」が得意とする市場と「atone」が向かうべき市場の構造的な違いを体で学ぶプロセスでもあったと思っています。どこに行けば「atone」の価値が刺さるかが明確になっていったから、今の戦略があると考えています。

AIの台頭による時代の変化による事業への影響はどのような所に感じていますか?

井上:非コア業務をAI前提に再設計することで、単純なシステム化以上の効率化・高品質化を実現し、効率的に事業成長を実現していくことが必要です。
また、組織の垣根なく領域を越境して人材を育てるというNPの組織風土はAI時代とマッチしていると感じています。広い領域のコンテキストを有し複雑な意思決定をリードできる人材を引き続き育成して、AIの活用幅を広げていきたいと考えています。

NPの事業の本質は決済のインターフェースではなくリスクを取って社会の負を解消してきたことです。消費者、企業が意思決定に使うツールがAIに変わったとしても、AIはリスク保証をしてくれないので、変わらず今までのNPの強みを磨き続けることが成長につながると思います。

信用を、社会に広げる

最後に、この仕事の社会的な意味をどう言語化していますか?

上田: 後払い決済は、これまでの決済手段を使いたくない・使えない方々の新しい手段です。後払い決済が広がっていくことで、お買い物が自由にできる方が増える。それは今まで成立していなかった取引を成立させていく行為です。その結果、加盟店もより多くのお客様に、商品を届け売上に繋げることができる。お客様に安心を、加盟店に売上を届けることで、双方にとってなくてはならないサービスへと育てていきたいと考えています。

私たちがやっていることを抽象化すると、「信用を創造すること」と表現できると思っています。信頼関係が成り立っていないがゆえに取引が成立していない場所を見つけて、誰もが安心してお買い物が出来たり、様々なサービスを享受できる社会を、決済という手段の提供に閉じずにつくっていきたいと思っています。

井上: 今一番社会に浸透している信用取引といえば、クレジットカード決済だと思います。クレジットカードは60年以上の歴史を持ち、デファクトスタンダードとして存在する一方で、審査に通らない方もいたり、また与えられる金額枠が大きすぎて使うのが怖いという方もいます。後払いは、こういった方々でもアクセスできる、きめ細やかで柔軟な信用を生み出してきました。

社会や個人のライフスタイル・価値観が変化する中で、既存の枠組みにとらわれずにもっと良い信用のあり方がないのか、問い続けることで、「つぎのアタリマエをつくる」というミッションの実現にも近づいていくと思っています。

「NP後払い」について

「NP後払い」は、通販利用者向けの後払い決済サービスです。購入者は商品が届いた後に代金を支払うことができ、会員登録やクレジットカード情報の入力も不要で、すぐに利用可能となります。一方、NP後払いを導入した通販事業者は、取引成立直前に購入者が離脱してしまう「カゴ落ち」を防止でき、売り上げロスの減少につながります。請求業務についても、与信から請求書発行、代金回収までの全てを当社が代行し、未回収リスクも保証するため、本来業務へより集中できます。
詳細はこちら::https://www.netprotections.com/

「atone」について

「atone」は、通販・実店舗ともに使える後払い決済サービスです。購入者はお買い物をした後で代金を支払うことができ、銀行口座やクレジットカード情報の登録やチャージも不要で、すぐに利用可能となります。一方、atoneを導入した通販事業者は、取引成立直前に購入者が離脱してしまう「カゴ落ち」を防止でき、売り上げロスの減少につながります。実店舗では、クレジットカードを保有しているが使わない購入者を取りこぼすことなく、店舗のキャッシュレス化を推進できます。ポイントプログラムも導入しているため、新規獲得・リピート率UP・購買単価の向上にも貢献します。
詳細はこちら: https://atone.be/

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