企業間の取引では、売上実績がない、設立間もない、個人事業主といった理由だけで、取引の入口にすら立てない会社が存在します。
一方で、役務・サービスの現場に目を向ければ、スマホ決済が普及した今もなお、根強い現場集金業務が慣習として残り続け、督促回収のために車で1時間かけて現金を回収しに行くようなケースが残っています。
こうした「与信の壁」と「現場の非効率」に向き合ってきたのが、「NP掛け払い」と「NP後払いair」です。請求書発行から未回収リスクの保証まで、あるいは訪問先での決済から代金回収まで、それぞれの企業に代わって担うことで課題を解決してきました。その根底に一貫して流れているのが、NPが創業以来持ち続けてきた与信の考え方「分からないなら、まず信じる」です。
本記事では、それぞれの事業責任者に、サービスが市場に広まるまでの試行錯誤の過程と、決済を超えた真の事業価値について聞きました。
プロフィール
揚田 大地(Ageta Daichi)
「NP掛け払い」事業 管掌執行役員。2016年中途入社。入社以来一貫してNP掛け払いに携わり、セールス、サポートデスク、マーケティングを経て現職。入社当時GMV約100億円台だった事業を、3,000億円超の規模へと牽引してきた。
中島 康太郎(Nakajima Kotaro)
「NP後払いair」 事業 管掌執行役員。 2014年中途入社。「NP後払い」事業責任者を経た後、FP&Aグループに異動し、上場プロジェクトに参画。その後事業側に戻り、現職に。
「まず信じる」という信念が、見えていなかった市場をひらいた
国内の後払い(BNPL)市場を切り拓き、ネットプロテクションズの成長の原動力となってきた「NP後払い」。「NP後払い」が築いてきた資産や考え方が、「NP掛け払い」や「NP後払いair」にどう受け継がれているか教えてください。
揚田: 「NP後払い」から学んだ最も大きなことは、「分からないなら、まずは信じて信用を付与する」という当社が大事にしている性善説の考え方です。一般的に、審査の世界は「疑わしければ落とす」が常識です。情報があればあるほど怖くなる。でもNPは逆で、最初は分からないから、まず信用してみようという考え方でやってきた。これは「NP掛け払い」でも変わっていません。
中島:「NP後払いair」も基本的な考え方は同じで、「NP後払い」で培った「まず信じる」という発想がそのまま生きています。「NP後払いair」の審査を支えているのが、「NP後払い」で20年以上積み上げてきたデータと知見です。市場は違っても、与信の本質は変わりません。
加えて、「NP後払いair」が対象とする役務の市場は、ECと違ってお互いの顔が見える世界です。事業者がお客様の元を実際に訪問し、実在性を確認しているからこそ、ECよりも不正リスクを低く抑えられます。その結果、より多くの人を信じ、与信の幅を広げることができています。
「NP掛け払い」はBtoB市場のどんな「不」に気づいて参入していったのでしょうか?
揚田: 掛け払い自体の概念は昔からあります。「掛けで売る・掛けで買う」はBtoBの商取引の基本です。ただ、BtoBの取引の場合、世の中的に「これ以下の信用スコアの会社とは取引しない」というラインが存在します。売上実績がなかったり、設立間もない企業の場合など、そういった会社は信用できないとされる。我々はそういったゾーンに対しても信用を創造することで、多くの企業の間で新しい取引が成立できるようにしてきました。
「NP掛け払い」の価値のコアは、与信と保証にあると考えています。請求書を発行するツールや、入金確認のシステムは、現在すでに数多く存在しています AIによって代替できる部分も増えていますが、「未回収リスクを保証する」ことはできません。また、保証する会社があっても、SMBと呼ばれる小さな会社は対象外になることが多いのです。我々はそうした事業者も含めて保証することで 、あらゆる場所でビジネスが成り立つ環境を実現しています 。
役務・サービス領域へ「NP後払いair」が参入した経緯を教えてください。
中島: この市場の現場で何が起きているかを見たのが出発点です。住設機器の修理・メンテナンス、小口リフォーム、エアコンの取り付けなど、事業者がお客様の家に訪問してサービスを提供する市場を見た時に、今もなお現金集金を当たり前としていることが非常に多く、こういった債権管理・回収業務に関する不は都市圏・非都市圏によらずあるわけですね。
お客様は銀行でお金を下ろして現金を用意して待つ。事業者側は集金して、事務所に戻って経理処理して、もしその場でお金がなければまた別日に訪問する。地方だと車で1時間かけて集金に行くこともある。これを見た時に、「NP後払い」の仕組みをこの市場に持ち込めば、こうした非効率を解決できるんじゃないかと当時の新卒メンバーが発見・企図したことが最初のきっかけですね。
市場との対話の中で、答えを見出してきた
それぞれどのようにサービスは広まってきたのでしょうか?
揚田:最初は印刷業界の通販から導入が進みました。ネットで顔の見えない相手に掛け売りするのは怖い、でも多くの顧客をスピーディーに獲得するために、掛け払いは必須、そのニーズに応えられたからです。そこから他の通販企業に広がり、徐々にベンチャー企業へと広がっていきました。ベンチャー企業の場合、エンジニアや営業などの事業推進スピードに直結する採用の優先度は上げやすいのですが、一方でバックオフィス部門には人を割けないことも多く、請求業務をまるごとアウトソースしたいというニーズが強かったのです。
その中でも、 個人的に一番記憶に残っているのは、食品卸や酒卸への展開です。飲食店の中でも個人経営のお店への掛け売りは敬遠されがちでした。でも食品を卸す企業にとっては、そういった数多のお店にも販路を拡大していきたい。また現場を見てみると、多くの場合は現金での非効率な集金が続いていました。この業界の力になれるのではないかと感じ、どうすれば多くの事業者様に使っていただけるか、地道に一社づつの企業にしっかりとヒアリングを行いました。深ぼって聞いていくと、共通する課題と個社ごとの課題が見えてきたので、それをニーズの大きさによって分類し、サービス改善の方針を定めていきました。ある一定のラインを超えてから、急速に業界内で「NP掛け払い」が広がっていきました。特定の業界にちゃんとはまるという経験を初めてした感覚でしたね。使い方が定まって、導入の型ができていき、それが他の企業への展開につながっていった。この型ができたことで、受け身ではなく、こちらから業界に広げにいけるようになったんです。手探りで動きながら市場が見えてきた経験でした。
中島:決済の多様化が急速に進む時代が到来し、事業者もユーザーニーズを満たすために多様な決済ソリューションを取り入れ対応することが求められてきました。これは事業者の現場目線に立つと決済ソリューションの進化に合わせて、その決済方法の仕様・体験について学び続けなければいけないということです。
しかし例えば住設機器市場だと製品の設置・点検・メンテナンス・修理等のサービスを滞りなく提供し、ユーザーから高い満足度を得たいというのが事業者の本音であり本分です。債権管理領域からは解放されてコア業務に集中したいわけですよね。「NP後払いair」はコンビニ・銀行・郵便局といったユーザーが好きな場所とタイミングで支払うことが出来る決済方法となっているので、1つの手段でそのニーズを一定程度解消してきました。
一方でいずれの場所でも現金でのお支払いが必要だったので、クレジットカード派の方のニーズは満たせていませんでした。「NP後払いair」導入後も、事業者は常にカード決済端末を持ち歩いて現場対応をされていたということですね。そこで「 NP後払いair」は2025年4月に、請求書でクレジットカード払いができる機能をリリースしました。私はプロジェクトオーナーとして関わりましたが、市場からのリアクションが想定以上に良かったです。今までだと、事業者はユーザーのクレジットカード決済に対応するために通信が必要な端末を毎回現場に持っていかなければいけなかったのですが、サービス提供地域によって通信網が不安定な状態になることがしばしばあります。例えば高層マンションだと事業者の端末には電波が入らなくて結局使えないという状況もあるんですね。そこに対して後から請求書が到着して、さらにQRコードがついていてスマホで決済できる、という形が「NP後払いair」の市場にかなり受け入れられています。
「 NP後払いair」として元々やりたかった機能ではあったんですが、多くの支持をいただいたことはとても励みになりました。市場との対話の中で、どこに刺さるかが見えてくるという経験でしたね。
決済をアウトソースすることが、経営戦略の1つになる
事業者にとって、決済業務をアウトソースすることの本質的な価値はどこにあると考えていますか?
揚田: コストの話として捉えられることが多いんですが、本質はそこではなく、「コアコンピタンスに集中できる環境をつくれること」にあるんじゃないかと思っています。例えば営業が集金業務に時間を使っているとしたら、アウトソースすればその時間を全てお客さんのために使えるはずです。決済業務をまるごとアウトソースすることで、「従業員が何に最も時間を使うか」を再設計する、いわば経営判断ができるようになる、そこが本質だと思います。
中島: 「NP後払いair」も同じ構造です。事業者が現場に行って、集金して、事務所に戻って経理処理して、未払いがあればまた訪問して、というこの一連の作業を全部アウトソースできる。そうすると現場のスタッフは、決済の説明ではなくサービスの提供に集中できる。1日3件しか回れなかったのが4件回れるようになる、クロスセルの提案ができるようになる、という話です。
会社の強みを最大化するために何に人をアサインするか・何に時間を最大限使うか、そういった経営のプライオリティを変えることができるサービスだと考えています。
それぞれのサービスの現在地と、これからの戦略について教えてください。
揚田: 「NP掛け払い」が対象とする企業間取引の市場規模は約180兆円。業界No.1のポジションにいるとはいえ、市場全体から見れば獲得できているのはごく一部で、伸びしろしかありません。プロダクトとして未完成な部分も、踏み込めていない業界も多く残っています。裏を返せば、これから入る人が手をつけられる余白がいくらでもあるということです。
日本の企業の99%は中小企業ですが、今も前払いや代金引換でしか取引できない場面が多く残っています。実力や将来性ではなく「信用が足りない」という一点だけで、ビジネスの加速が止められている状態です。AIがこれだけ進化しても、唯一代替できないのが信用を担保すること。我々が信用を創造する側に立つことで、これまで動かなかった取引を動かし、より多くのビジネスを活性化していきたいと考えています。
中島:「NP後払いair」の価値が届く市場規模は現時点でもTAM20兆円以上、3〜4年前と比べると関心を持っていただけるクライアントサイズも大きくなっており、引き合いが明らかに増えています。労働人口減少・構造的な人手不足によるビジネスへの弊害が報道レベルではなく現場実務レベルの課題として実感される時代になってきました。「NP後払いair」が事業者の債権管理領域つまりノンコア業務を一気通貫で担うことで現場の生産性は大きく向上し、さらには新たな売上機会の創出など、事業者は「付加価値向上を支える環境基盤」を手に入れることができます。現在の主力は住設機器・小口リフォーム・住空間の修理メンテナンス領域ですが、今後は医療・介護・教育・保険などにもカバレッジを広げ、それぞれの業界商慣習を紐解きながら事業拡大していきたいと思っています。
この環境に今後、飛び込む人は、どんな経験やキャリアの築き方ができますか?
揚田: 「NP掛け払い」が解こうとしている課題は、プロダクトとセールスどちらか一方の力では突破できません。現場で顧客の課題を掴む力と、それをプロダクトに実装する力が噛み合ったときに、初めてサービスをアップデートできます。両方の目線が揃って、初めて事業をつくれる、そこが一番面白いところです。180兆円の市場に対する答えは社内の誰も持っていません。未完成であることを面白く感じる方と、一緒に信用を創造していきたいと思っています。
中島:業界のカバレッジを広げようとすると、当然プロダクトもバーティカルに変化・拡張し、様々なインダストリーへ広がりをみせていくのだろうと思います。その意味で、これから当事業に新たにジョインいただける方にとっては、特定の場所で特定の職能を磨きこむというよりも、社内外のリソースをマネジメントし様々な産業における債権管理領域の「不」を連続的に解消できる「事業企画型人材」の道が開けていくということですね。自然とビジネスセンスが磨かれ体感ベースでやりがいが感じられる貴重な事業環境だと思います。
NP掛け払いについて
「NP掛け払い」は、企業間取引(BtoB)向けの後払い決済サービスです。当社が売り手企業と買い手企業の間に入り、買い手企業への与信から請求書発行、代金回収までの決済・請求業務全てを請け負います。NP掛け払いの導入により、売り手は決済・請求業務をまるごとDX化し、本来業務により集中できます。また未回収リスクの保証もするため、経営基盤の安定化を図れます。さらには、従来の信用機関に依存しない独自の与信審査によって、個人事業主を含む事業者に対して与信通過率99%(※2)と柔軟に掛け売りを提供することができ、販路拡大・売上向上が見込めます。買い手は掛け払いを利用することで、キャッシュフローの改善を期待できます。
詳細はこちら:https://np-kakebarai.com/
「NP後払いair」について
「NP後払いair」は、水道・ガスの修理、ハウスクリーニング、住設機器の設置・修理など、訪問型の役務サービスで使える後払い決済サービスです。利用者は、サービスを受けた後日に代金を支払うことができるため、当日の現金準備が不要となります。追加請求発生時に手持ち不足になる心配もありません。会員登録やクレジットカード情報の入力も不要です。一方、NP後払いairを導入した事業者は、与信から請求書発行、代金回収までの全てを当社にアウトソースでき、未回収リスクも保証されます。回収・集金業務にかかる負荷・負担や、現金の違算・紛失リスクも解消でき、本来業務へより集中できます。
詳細はこちら:https://www.netprotections.com/air/